気象観測装置の設置方法について

気象観測装置の設置方法について

気象測器の取り付けを行なう場合、各観測目的に適した設置場所を選ばなければなりません。建物や樹木などの日陰にならない水平な地面を選びできるだけ広い面積(約70m2以上)が必要です。周囲に障害物があったり建物の屋上等を利用して観測器械を取り付ける場合は特に支柱の高さや屋上の場所に注意を計ってください。尚、農業や建築関係など目的に合わせた気象を観測する場合はその条件に応じた適切な観測場所を定めることが必要です。
パンザーマストへの取付はアングルをのばして支柱方式と同様に固定します。
雨量計
百葉箱やその他の建物から離れた平坦な場所を選び、コンクリート、またはアングルで土台を作り固定します。
露天計
芝草を植えた露場に高さ1.2~1.5mに感部が来るようにとりつけます。
放射収支計
温度計シェルターと同じように取付金具がありますので支柱にU金具で固定します。
風向風速計
支柱の最上部に取付けられたフランジに発信器を取付け、N位置を合わせて固定します。
日射計
感部は、日中影のできない所を選び取付架台に水平に取付けます。
日照計
南へ取付アングルをのばし、取付角度は設置場所の緯度に目盛を合わせて固定します。
温度計、湿度計
百葉箱のスペースがないような場合は、シェルターや、金属百葉箱を利用し、支柱に取付ます。
シェルター 金属百葉箱
百葉箱
芝草を植えた露場に高さ1.2~1.5mに各感部が来るように取付ます。また扉は北側に向け直射日光をさけるようにします。
百葉箱内には温度計、湿度計、気圧計などを設置します。
支柱は、台板を取外すことができ折りたたむ事もできます。
熱流計
地表面近く熱流板を埋設し、柵等をつくり人畜の進入を防ぎます。
気象観測装置の設置方法
※詳細についてはお問い合わせください。

風向風速計
1.基本的な設置場所
地上気象観測法には、平らな開けた場所を選んで、独立の塔、または支柱を建て地上10m(世界気象機関技術規則)の高さに設置することを標準としています。開けた場所とは、測器と障害物との距離が障害物の高さの少なくとも10倍はあることをいい、実際には障害物があったり高さも10mが確保できない場合がありやむをえず、ビルの屋上、鉄塔及び煙突等に設置することがあります。その場合の設置場所の基準を下記のように選んで下さい。
1)ビル屋上に設置する場合 風向風速計
  1. 屋上の一番高いところが理想的である。
  2. 発信器の高さは屋上中央部で(端側は壁面より吹上げ風の影響があるため)床から5m以上が望ましく、障害物から遠く離れた広い場所が選べるならば3m以上で結構ですが、高さの設定は吹き流し等を用いて気流の安定した高さを選ぶようにする。
  3. 屋上の出入口、給水タンクなど突起物の上に設置する場合は3m以上が望ましい。
  4. 屋上の外壁及びその周辺は、吹き上げの影響や危険をともなうので外壁より5m以上内側が望ましい。
2)鉄塔及び煙突などに設置する場合
  1. 頂部に取り付ける場合には頂部から横にアームを張り出し、その先端の設置台に発信器を取り付ける。アームは測器と鉄塔との間の間隔が少なくとも50cmは離れる位の長さにしたい。
  2. 鉄塔の中程に取り付ける場合には、鉄塔の影響があるので、アームは十分に長いものでアームの張り出す方向は主風向を直接受ける方向が良い。
  3. 煙突の中程に取り付ける場合には、その直径から30cm程度までの煙突であれば直径の2~3倍程度のところに測器がくるような長さのアームを煙突に固定し、出す方向は主風向の方向が良い。
  4. 煙突の径の大きいものは、それ自身が大きく影響して複雑な風の乱れを生じるので専門家に相談するほうが良い。又、高層煙突用の測器があります。
2.南北方位の決定方法
地上気象観測法には、平らな開けた場所を選んで、独立の塔、または支柱を建て地上10m(世界気象機関技術規則)の高さに設置することを標準としています。開けた場所とは、測器と障害物との距離が障害物の高さの少なくとも10倍はあることをいい、実際には障害物があったり高さも10mが確保できない場合がありやむをえず、ビルの屋上、鉄塔及び煙突等に設置することがあります。その場合の設置場所の基準を下記のように選んで下さい。
1)日照真南北計(矢橋式)による方法 各地の偏角(建設省国土地理院による)
  • 午前8時~午後4時までの太陽の影による測定で水平な平板上に計器を置き投影と緯度、経度、時刻の設定により真方位を求める。
2)コンパス(磁器)による方法
  • 近くに鉄などがなく地磁気の乱れがない場所にコンパスを置きNの指示方位を仮に北と定めた後、真北と磁北のずれ角度分だけ何度が偏角しているので修正して正式に北を求める。
3)日南中時方法
  • 太陽が見えている時日南中時に太陽に向かって立ち重錘の影が正しい南北線となる。ただし場所により経度が異なるため理科年表等により補正する必要があります。
4)北極星による方法
  • 夜間の晴点時に北極星を確認して定める。
等偏角線図

等偏角線図

雨量計
基本的な設置場所
地上気象観測法及び建設省河川砂防技術基準(案)には、600m2の平らな開けた場所を選び、測器を水平に設定し、高さは一般に地表付近の風は高くなるほど強くなるのが普通で、そのため受水口は高くなるほど降水補そくが悪くなるのでできるだけ低くし、地面から雨水のはね返りを防ぐためには、受水口の周囲1m四方に芝草を張り、よく刈り込んでおく。以上が標準とされておりますが、実際には600m2の水平な場所を確保できない場合があり、やむをえずビルの屋上等に設置することがあり設置場所の決定には下記に注意して下さい。
1)屋上の外壁及びその周囲は吹き上げの影響をうけるので10m四方内側に設置する。
2)屋上の出入口や給水タンクなど突起物がある場合高さの4倍以上離れた場所に設置する。
3)強い雨の際の地面からのはね返りがいらないよう回りに1m四方人工芝を張るとよい。
4)孤立した高いビルに設置する場合は風よけを付ける必要がある。
転倒ます型雨量計の設置
転倒ます型雨量計の設置
5)窪地等で周囲の水が流れ込んだり排水が悪かったりして、大雨のときは平常では考えられない方向から雨水が流れてくることがあるので排水路を周囲にめぐらしておくか、周囲地盤より幾分高くしておくとよい。
6)積雪地域はその地域の積雪深を考慮して鉄塔を用意してその上に取付けることもあります。

温度計
基本的な設置場所
地上気象観測法には、建物や木などの日陰にならないところを選び芝草をうえる。芝草は時々刈り込み雑草を取り除き、周囲はできるだけ広い面積(約600m2以上)が必要で、草地が広がっていることが望ましい。
1)百葉箱に取り付ける場合
  • 百葉箱は、気温や湿度の測器を、風雨などから保護し、日射や放射からしゃへいするためのものです。百葉箱は、通気性を考慮した四方が鎧戸式で檜材で作られ白色ペンキで塗装したものです。また脚部は木製で地上約1mとし、地中に埋めて固定しますが測器の高さを地上気象観測法では、地表面上1.5m前後(世界気象機関技術規則では1.25~2.0m)の高さになることを基準としています。ただし、多雪地では積雪の深さに応じて脚部を高くする。扉は開いたときに日射が直接あたらないように正面を北向きにし、その中の測器は、北側に面して左に湿度計、右に温度計を配置する。
2)ビルの屋上に設置する場合
  • 木製百葉箱の設置が困難な場所には、温度計は通風装置の付いた特殊な強制風筒の中に測器を入れ、通風口の高さは1.5mが標準です。設置の方法は風向風速計1-1)の項を参考にする。
湿度計
基本的な設置場所
基本的な設置場所温度計と同じです。
1)百葉箱に取り付ける場合
  • 温度計1)の項を参考にする。
2)ビルの屋上に取り付ける場所
  • 木製百葉箱の取り付けが困難な場所には、熱影響を受けない白色ペンキで塗装した金属製の百葉箱に測器を入れ、高さは1.5mが標準です。設置の方法は風向風速計1-1)の項を参考にする。
蒸発計
地上気象観測法には、霜場 (600m2以上の面積があり近くに高い建物や木などがなく、草地がひろがっている所)内の雨量計の近くで百葉箱などの影響を受けないような所を選び木製の取付台を水平に置き、設置する。

日射計
基本的な設置場所
四季を通じて日出から日没まで発信器に陰を投ずるような建物、煙突、アンテナ、建物の壁面からの反射光の影響などを受けない位置を選び、水準が狂わないような堅固な水平の台に設置する。但し、下記に充分注意し設置場所の選定をして下さい。
1)測器より高い位置に反射物があるとその反射が測器に入り易いので避けてください。
2)煙、水蒸気、塵埃等が舞い上がった周囲条件があればその影響を受けるので避けて下さい。
3)測器は正しく水平に保つようにして下さい。
4)寒冷地、多雪地域は測器にブロアーが内蔵されたものを使用するのが望ましい。

日照計
基本的な設置場所
設置要領は日射計と同様で直射日光をさえぎるものがない場所を選び、水準が狂わない堅固な水平の台に設置する。
但し、下記に充分注意して下さい。
1)測器は、東西方向の水平には特に注意して下さい。
2)測器を固定する場合、まず緯度目盛りをその場所の緯度に合わせ、次にその場所の真南北線に向きを合わせる。南北線を決める方法は、風向風速計を参考にして下さい。

放射収支計
基本的な設置場所
設置要領は日射計と同様で、直射日光をさえぎるものがなく、建物等からの反射の影響を受けない場所を選び、高さは一般に地上1.5m~2.0m程度です。 取付に際しては測器は水平の台に設置する。

気圧計
気圧は他の気象要素と違い場所的な代表性が大きく、特に観測地点の選定に留意することはありません。取り付けは気象計器室に設置するか、観測室の近くに設け、測器への風圧を防ぐため、出入口は引戸にする。風が強いときには、静圧のほかに、動圧が加わって誤差の原因になる。この影響は風向及び風速によって違うため山岳や海岸などの風が強い所での測器の設置には、建物の風に対する影響などを考慮に入れる必要があります。鉄筋コンクリート造りの部屋では、外部からの振動が伝わらない場合には、柱を設けないで壁に直接取り付けてもさしつかえありません。床からの振動が壁や柱に伝わる場合丈夫な台を設けて、その上に振動を除去するためのスポンジラバーのクッションを敷いて設置するのが最もよい。また室内は気温の急変およびせまい機密性の良い部屋でドアでの開閉の風圧が影響することもあるので注意し、ホコリなどからも保護されるようにする。

水位計
水位計の設置場所は、河川の管理上の重要な地点に設けるものとし重要な地点とは、次のようなものが含まれる。
1)重要支脈流の分合流前後、堰や水門などの上下流地点
2)狭搾部、遊水地、湖沼、貯水地、内水および河口等の水理状況を知るために必要な地点。
なお、観測所は次の条件を考慮し、要求される精度を維持できる場所に設置しなければならない。
●水流が整正であること。 ●流路および河床の変動が少ないところ。 ●観測の際、危険が少ないこと。
●観測に便利で、
付近に観測員が得やすいところ。
●渇水時でも観測する場所が
干上がってしまわないこと。
●できれば、電源の引き込みが可能なところ。
投込式水位計 水圧式水位計 超音波式水位計
投込式水位計 水圧式水位計 超音波式水位計
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